大池自然再生日記10・11・12月号
令和7年12月14日、21日
12月21日 大池にバン現る!
11月24日と11月30日にみんなでガマ刈りを行った大池の北浅場において、バンが現れました。バンは川や池沼に生息する水鳥ですが、埼玉県では絶滅危惧種の鳥類です。繁殖期の夏はくちばしが赤くて目立ちますが、非繁殖期はそれがなくなります。くちばし以外の特徴としては、羽の縁が白いところで別の種類と見分けることができます。バンは浅場でエサを食べながら、人が園路をとおるとガマの中に隠れるというのは繰り返していました。保全作業で刈り取りの時に落ちた草の切れ端などを食べていました。エサがたくさんある浅場の横にすぐに隠れることができるガマ群落があるこの景色がバンにとって住みやすい環境になっているようです。保全作業を行うことで、そういった環境ができたということで、イベントに御参加いただいた市民ボランティアの皆さんのおかげでもあります。
バンは他の水鳥よりも警戒心が強いみたいなので、観察する際は静かに見守ってください。来年の夏の繁殖を期待しましょう!

県内では減少傾向の希少な鳥類です。水草が豊かな水辺に現れる傾向があるようです。

上尾水辺守やイベント参加のボランティアの皆さんに浅場の草刈りやガマ刈りをしていただいたことで、
バンが動きやすく、隠れやすい絶妙な空間ができました。
みんなで水辺守 湿地のお手入れ編
12月14日から市民協働イベント「みんなで水辺守 湿地のお手入れ編」がスタートしました。このイベントも3年目に突入です。湿地はお手入れをしないと泥・枯れ草・枯れ葉がたまっていくことで、みずみずしい環境が乾いた環境に変わっていってしまいます。年々、生物多様性の回復を進める「お手入れエリア」が拡大しています。これもイベントに参加いただいている市民ボランティアの皆さんのおかげです!
14日は主に湿地の草刈りを、21日は主に増えすぎてしまった湿地の木の伐採と運び出しを行っていただきました。皆さんありがとうございました。これからも湿地お手入れは続きますので、興味のある方は是非参加してください。都市公園でみんなでネイチャーポジティブをしましょう!
14日のイベントの様子。刈り取った草を熊手で集めていきます。
21日のイベントの様子。足場がよくない場所でも、みんなで協力して運び出し作業を行いました。
令和7年11月30日、12月6日 ガマ刈り完了
大池のガマ群落の刈り取りイベントを開催しました。園内の3つの大ガマ群落の最後の1つです。この2日間も上尾水辺守、水辺守体験参加、イベント参加者と多くの市民ボランティアの皆さんに御参加いただきました。このガマ群落は大池でかいぼりをした後に、最初にカイツブリの営巣が確認された記念すべき場所です。ガマの生長が早くて、園路に倒れかかったりもしていたので、園路沿いを中心にガマを刈り取りました。皆さんのお力のおかげで園路沿いがスッキリっす!ありがとうございました。
12月6日には、予定よりもガマ刈りが早く終わったので、別の湿地の草刈りを行いました。12月14日からは、新たにこの湿地でお手入れイベントを開催します!湿地を陸地化させないために行う大事なイベントです。
11月30日のイベントの様子。大池のガマ刈りや浅場の除草に取り組んでいただきました。
12月6日のイベントの様子。
予定よりも2回分も早く、大池のガマ刈りはこの日で完了です。御参加いただいたすべてのボランティアの皆さんに感謝です!
令和7年11月24日 本日もガマ刈っています!
前回に引き続き市民協働イベント「みんなで水辺守 池に入ってガマを刈る!編」です。この日も上尾水辺守の皆さんの他、イベント参加者と水辺守体験の皆さんに御参加いただきました。大きな鎌でガマを刈り取る人とガマを池の外に運ぶ人に分かれて、協力して作業を進めたところ・・・なんと花菖蒲田上流区域のガマは刈り取りが完了しました。皆さんお疲れさまでした!
そんなこんなで、午後は上尾水辺守と体験参加の皆さんだけになって、大池の北側にひろがるガマ群落に突入です。ここはガマをすべて刈るのではなく、池の護岸沿いのガマを刈り取っていきます。なんと・・・この場所もガマの刈り取りが終わりました。水辺守の皆さんのパワーには驚かされるばかりです。皆さんありがとうございました。
11月30日からのイベントは、大池のもう1つのガマ群落に突入です。
この日もどんどんガマがなくなっていきました(左)、参加したみんなで集合写真(右)
生物多様性が回復したからこそ、大池にもたくさんのガマがあります
作業前のガマ群落(左)、作業後の様子。護岸沿いがスッキリしました(右)
令和7年11月9日 みんなで水辺守 池に入ってガマを刈る!編
この日から市民協働イベント「みんなで水辺守 池に入ってガマを刈る!編」がスタートしました。11月とは思えないぐらいの寒い日でしたが、上尾水辺守の方が1名、一般参加の方が7名と多くの皆さんに御参加いただきました。ガマとは水草の一種で、水深が浅いところに生育する抽水植物です。ガマがあるとカイツブリが営巣に利用したり、水草が好きなトンボが集まってきたりしますが、生長が早いのが難点です。ガマが繁茂しすぎると…カイツブリや水生昆虫が逆に利用しづらくなったりするので、刈り取りを行って群落を若返らせる必要があります。池に入って、大きい鎌でガマを根元から刈り取って、池の外に出すという、日常生活ではなかなかできない体験です。みんなで、協力して作業を進めて、たくさんのガマを運び出すことに成功しました!皆さんお疲れさまでした!
それと寒くなってきたので、上尾丸山公園にも冬鳥が飛来しています。大池ではマガモ、ホシハジロ、オオバンなどの冬鳥のほか、渡りを行わないカイツブリ、カルガモ、ダイサギなども確認できます。ガマ刈りをしていただいた湿地ではタシギも確認されました。保全作業をすると鳥はすぐに飛来します。しっかり見ているんですね。
刈り取ったガマをみんなで協力して池の外に出します(左)、ガマはトラックやリアカーに積んで置き場まで運びます(右)
参加したみんなで集合写真(左)、ガマを刈った湿地に飛来したタシギ(右)
令和7年10月26日 今年最後のアメリカザリガニ駆除と湿地のガマ刈り
この日は上尾水辺守の体験参加の方が4名もきてくれました。そんな皆さんと今年最後のアメリカザリガニの駆除作業を行いました。この日もアメリカザリガニがたくさん捕れたので、まだまだ続けたいところではありますが、湿地の植生管理も生物多様性の保全をするうえでは重要な作業になりますので、アメリカザリガニの捕獲作業は来年の春までお休みです。捕獲されるアメリカザリガニが小さくなってきているので、少しづつですが駆除作業の成果が出てきているように感じます。
午後は前回に紹介した湿地のガマ刈りの続きです。この日もみるみるとガマがなくなっていき、全体の8割ぐらいの範囲で刈り取りが終わりました。この湿地の刈り取りが終わったら大池のガマ刈りにもトライします。11月からは、市民協働イベントでもこのガマ刈りを行います。池に入れる数少ない機会になりますので、興味のある方は是非参加してください。
雨が降っていましたが、みんなで協力して捕獲作業を行いました。

刈り取り担当と運搬担当に分かれて、協力して作業を進めます(左)、前回よりも広い範囲のガマが刈り取れました(右)
令和7年10月10日から12日 水生生物調査と水槽展示で外来種防除の普及啓発
この3日間は年に1回の水生物調査でした。この調査はかいぼり前から同じ方法で行っており、自然再生活動によって水生生物がどのように変わっているかを確認するモニタリングとなります。調査には、いつものアメリカザリガニ用の罠ではなく、張網という小型の定置網を使うので、1日目は設置のみ、2日目は回収・計測と別の場所に再設置、3日目は回収・計測と3日がかりの調査となります。上尾水辺守の皆さんは張網の設置も回収・計測も手慣れたものです。カイツブリやトンボのヤゴの餌となる水生生物が多くなっている印象で、モツゴが928匹、スジエビが874匹、ギンブナが76匹でした。
それとこの時期は公園の来園者が増えるため、水生生物調査で捕獲した生物を水槽展示して、外来種防除の普及啓発を行いました。水槽を見ていただいた方に、「外来種がいると在来種が食べられたりする影響があるため、生態系を豊かにするために外来種を減らす取り組みを市民ボランティアの皆さんと一緒に取り組んでいる。」ということを解説しました。
また、来月からは湿地保全の市民協働イベントを企画しています。そこで、上尾水辺守の皆さんに先行してイベントで行うガマ刈りをトライアルで実施していただきました。この場所は、もともと人工池だった場所を湿地に再生している場所で、2年がかりで池底のシートをはがしています。今回は水辺守の皆さんに、シートをはがし済みの範囲のガマ刈りを行っていただきました。シートがないと泥が深くて、歩くのも大変ですが、さすが水辺守の皆さんはそんな中でも手際よくガマを刈り取って、陸側に水揚げしていました。さすがとしか言いようがないです。皆さんお疲れさまでした!
張網でとれた生物をタライに入れて、網を回収します(左)、種類、数、代表種の体長を計測します(右)
水槽展示で外来種防除の普及啓発をしました(左)、上尾水辺守の皆さんの「ガマ刈り」は職人技です(右)

