大池自然再生日記4・5月号
令和7年5月10日、5月18日
5月10日 浅場管理作業と沈水植物の発見
この日は上尾水辺守の皆さんと市の職員が協働し、午前中はアメリカザリガニの駆除作業、午後は浅場管理作業に取り組みました。浅場では背丈の高い抽水植物が多くなっていたため、抽水植物のガマの刈り取りを行いました。ガマは浅場以外にも大池の上流域から中流域に多く生育しているため、浅場は背丈の低い別の水草や湿生植物の生育に配慮しています。そんな作業をしていたら、ニホンアカガエルを発見しました!
それと大きなニュースとして、5月4日に大池で沈水植物の再生が確認されました。第一発見者は、一昨年の市民協働イベントから上尾丸山公園の活動に参加いただいている上尾水辺守の方でした!池底からは毎年実生のガマがたくさん生えるのですが、発見した方は「生え方がガマとは違うと思った。」とのことでした。思い込みで大事な発見を見落とすところでした。感謝です!
沈水植物は2019年のかいぼりをした時から、再生を目指していた水草です。継続的に池底の天日干しをしたことで、今年になってやっとのことで再生してくれました。正確な種名は特定できていませんが、イトモの仲間となります。天敵のアメリカザリガニがまだまだ多く、この後の生育が心配ですが、上尾水辺守をはじめとする市民ボランティアの皆さんの保全活動の新たな成果が確認されました。
浅場では背丈の高いガマを刈り取りました(左)、オタマジャクシからカエルに変わる途中の感じでした(右)
大池で初確認の沈水植物イトモの仲間 5月10日に撮影
5月18日 市民協働イベント「みんなで水辺守 アメリカザリガニ駆除編」開始
この日は市民協働イベント「みんなで水辺守 アメリカザリガニ駆除編」の令和7年度の初開催日でした。御参加いただいたボランティアの皆さんと上尾水辺守のメンバーが罠を引き上げて、アメリカザリガニや在来種の水生生物を確認したり、捕獲数の計測を行いました。在来種ではドジョウなどが確認されました。在来種は、大池で増えて欲しいので放流して、アメリカザリガニは生態系に被害を与える外来種となるため回収しました。
イベント後は、上尾水辺守のメンバーと市の職員が協働で、残りの罠の引き上げを行いました。このような地道な作業が、沈水植物の良好な生育環境の確保につながっていくはずです。
イベントでの罠の引き揚げ作業(左)、イベント後にみんなで集まって、アメリカザリガニの生態系被害を学びました(右)
イベント後は残りの罠を引き上げました。この日は上尾水辺守のメンバーが少なかったのですが、引き上げる罠は100個以上…
少し時間はかかりましたが、なんとか予定数を回収することができました。皆さんお疲れさまでした!
令和7年4月20日、4月27日 上尾水辺守の保全活動
4月20日 アメリカザリガニの罠設置
この日は上尾水辺守の令和7年度初めての活動日でした。初回の活動日は毎回恒例のアメリカザリガニの罠の設置です。罠の補修をしつつ、なんと100個以上の罠を設置しました。在来種の水生生物を捕食したり、沈水植物の天敵となる条件付特定外来生物のアメリカザリガニを減らすために、上尾水辺守の皆さんがてきぱきと罠設置の作業をしていただきました。
午後は、外来植物の駆除作業です。保全活動をしていない湿地に、侵略的外来種のキショウブが定着しているのが発見されました。キショウブは繁殖力が非常に強く、他の植物が生育する場所を奪ってしまう厄介な存在です。早期除去が最も効果的であるため、上尾水辺守の皆さんにキショウブの根から掘り起こして駆除していただきました。皆さんの協力のおかげで、侵略的外来種が拡がる前に防除することができました!
みんなで手分けして罠の補修をしました(左)、設置された罠たちです(中)、罠の設置作業は番号をつけて、餌をいれて、設置してと大忙し!(右)
キショウブの掘り起こし作業(左)、除去したキショウブたちと上尾水辺守の皆さん(右)
4月27日 いろいろと保全活動実施
この日は、前回の活動で設置した100個以上のアメリカザリガニの罠の改修作業から開始です。久しぶりの池内の作業ということもあり、市の職員は胴長に穴が開いており、ずぶ濡れでした。回収作業が終わったら、池の流木の引き上げに取り組みました。この流木は、指定管理者が樹木の伐採作業をした際に、落ちてしまった長い長い丸太で、条件付特定外来生物のミシシッピアカミミガメが甲羅干しに使っていました。外来種にとって住みやすい環境になっていたため上尾水辺守の皆さんと協働で樹木を引き上げちゃいました。
午後は、昨年度の湿地再生イベントで掘り取った泥を入れた浅場の高さ調整をしたり(泥掘りです!)、この時期に花を咲かせる特定外来生物のオオカワヂシャの駆除を行いました。オオカワヂシャは繁殖力もあるのですが、希少種のカワヂシャとの雑種をつくってしまう厄介な存在です。上尾丸山公園で今のところ増えていないのは、上尾水辺守の皆さんが積極的に駆除活動に取り組んでいただいているおかげです。生物多様性を保全するためには、このような地道な取り組みも大切です。
このようにいろいろと盛りだくさんの1日でした。上尾水辺守の皆さんお疲れさまでした。
只今、大池は毎年恒例の「池底までくっきり見えちゃうよ!」期間です。埼玉県内では珍しい、透明度の高い池を見に、上尾丸山公園にきてください。
アメリカザリガニの罠の回収作業。在来種もたくさん確認されました。中には30cmぐらいのギンブナもいました(左)
引き上げた流木と上尾水辺守の皆さん。全員座れちゃう長さでした(右)
浅場をよい湿地環境にするために、高さを調整しました(左)、他の植物の中からオオカワジシャだけを見つけるのはなかなか難しいです(右)
令和7年4月4日 再生湿地の自然情報
上尾市バーベキュー場近くの湿地は令和5年度から市民協働イベントで湿地再生に取り組んでいます。令和6年度も4回の市民協働イベントと上尾水辺守の皆さんの保全作業を継続しました。令和7年の3月に確認された自然情報の紹介です。湿地が枯草などに覆われなくなったことで、野鳥がエサを捕りやすくなったせいか、多様な野鳥が確認されています。また、水たまりが増えたことで、ニホンアカガエルの卵塊が確認されました。ニホンアカガエルは周辺の保全地でも最近は見ることが難しくなっている希少種です。原因は特定外来生物のアライグマによる捕食と考えられているようです。今後、アライグマ対策も検討していきます。
1月の市民協働イベントにより枯れ草除去作業(左)
2月に上尾水辺守の皆さんと行った火入れ作業。火入れは令和6年度より新たに始めました(右)
3月下旬の再生湿地の様子
カケス(左)、モズ(右)
ヒヨドリ(左)、ツグミ(右)
キジのつがい。奥の目立つのがオスで手前にメスがいます(左)、再生湿地で発見!ニホンアカガエルの卵塊です(右)