大池自然再生日記11・12月号
令和6年12月22日
今日は令和6年の最後の上尾水辺守の活動日でした。この日も市民参加イベント「みんなで水辺守 湿地のお手入れ編」を開催して、上尾水辺守と一般参加の市民ボランティアの皆さんと湿地の自然再生に取り組みました。この日は、なんと関西からイベントに参加していただいた方がいらっしゃいました。このイベントは県外の方でもリピートしていただいています。御参加いただいた皆さんにはほんと感謝です。
イベントをしたあとには慰霊祭を行いました。慰霊祭には、上尾市の職員と上尾水辺守の皆さんと認定NPO法人生態工房の職員が参加し、地域本来の自然を再生し、生物多様性を回復させるためにやむを得ず駆除した外来種と人が持ち込んだ外来種によって食べらてしまった在来種の冥福を祈りました。令和7年も気持ちを新たにして地域の生物多様性の回復を目指して、みんなで力を合わせて活動に取り組んでいきます!
湿地を拡げるために草を除去しました(左)、湧水のせせらぎの周りにひたひたな湿地を拡げるために泥を掘ります(右)
2回のイベントでかなり湿地が拡がりました(左)、慰霊祭の様子(右)
令和6年12月15日
今日は都立井の頭恩賜公園で活動している「井の頭かいぼり隊」の研修として、かいぼり隊と東京都の職員の皆さんに上尾丸山公園にお越しいただきました。上尾丸山公園水辺再生事業は井の頭恩賜公園の「かいぼり」をモデルケースとして実施しています。その先進事例で御活躍されている井の頭かいぼり隊の皆さんの学びの場になるほど、上尾丸山公園の地域本来の自然再生は進んできたということだと思います。それも、上尾水辺守の皆さんの多大な協力あってのものです。
井の頭かいぼり隊の皆さんの研修メニューとしては、午前中に園内を視察してもらって、上尾丸山公園の自然の状況と最近の取り組みについて説明しました。みんなでお昼を食べた後は、楽しい作業研修です。大池では、令和5年度より水位を下げて、低水位管理をしています。その影響で、カイツブリなど多くの生物のすみかとなるガマ群落がどんどん拡がっています。水草が増えるのはいいことなのですが、年数が経過ごすると、冬に立ち枯れした植物が影になったり、堆積することで、群落が衰退することがあります。それを防ぐためには、定期的にガマを刈りこみ、群落の「若返り」をする必要があります。
大池のガマ群落は2カ所あるので、2班にわかれて、池の中のガマ刈りを行います。みなさんさすがに水辺の作業になれているようで、どんどんとガマを刈って、池岸に水揚げをしていただきました。どちらの群落も概ね半分ぐらいの範囲を刈り取ることができました。来年度の春には、カイツブリが営巣しやすい、すっきりしたガマ群落になると思います。井の頭かいぼり隊と東京都の皆さん、また、上尾水辺守の皆さんもお疲れさまでした!
かいぼり前には何もなかった池が、どのような自然になったかを視察しました(左)
室内講義で、自然再生活動の状況や自然共生サイトへの登録申請などの市の取り組みなどの説明を行いました(右)
作業前の大池北ガマ群落(左)、作業前の大池中流ガマ群落(右)
大池北ガマ群落の刈り取り作業の様子(左)、大池中流ガマ群落の刈り取り作業の様子(右)
作業後の大池北ガマ群落(左)、作業後の大池中流ガマ群落(右)
そのままだと池に堆積してしまう枯れたガマが広範囲に除去することができました。
刈り取ったガマの一部。皆さんのパワーがすごかったです(左)、みんなで作業後に集合写真(右)
令和6年12月8日
この日から市民参加イベント「みんなで水辺守 湿地のお手入れ編」のスタートです。このイベントは、湧水が流れ込んでいるものの、あまり手入れがされていなかった湿地を、多様な生物のすみかとなる湿地に再生する取り組みです。昨年に引き続き2年目のイベントとなります。今年は初回の作業となりますので、除草からのスタートです。しかし、夏に上尾水辺守の皆さんと一緒に除草したエリアは、草丈が低かったり、とげのあるノイバラ(在来種ですが、とげのせいでなかなか作業が進みません…)などが少ないため、みるみると作業が進んでいきます。除草したところでは湿地の乾燥化を防ぐために泥の掘り取りも行いました。掘り取った泥は、地域由来の埋土種子が含まれている可能性があるため、指定管理者の協力のもと、大池の浅場に運搬です。
このイベントをしていたら、背丈は低いのですが、絶滅危惧種のタコノアシが見つかりました。背丈が低いということは上尾水辺守の皆さんが行った夏の草刈りの後に再生したと考えられます。またしても、除草などの定期的な人為的攪乱が絶滅危惧種の再生につながりました。上尾水辺守の皆さんの活動の成果ですね!
このイベントは1月まで3回開催します。湿地は都市化でどんどん少なくなっていますが、多くの生物が生育、生息する大切な自然空間です。地域の生物多様性の回復や自然の保全活動に興味のある方は是非参加してください(ホームページより事前申し込みをお願いします)。
最初はみんなで除草からスタートです(左)、除草したところの湿地が開けてきました(右)
湿地が乾燥しないように気合で泥を掘り取ります(左)、最後はみんなで泥んこ集合写真です(右)
令和6年11月10日
11月4日に大池のアメリカザリガニの罠の回収が完了したため、この日からは浅場や湿地の管理作業をするシーズンに突入しました!豊かな自然環境を維持するうえで、生物のすみかをメンテナンスする大事な季節です。上尾水辺守の皆さんと協働でして浅場の草刈りを行いました。どこの浅場もガマ類やヨシ、マコモなど背の高い植物が密生していたので、手鎌を使って全面的に刈り取りました。
作業時間わずか2時間ほどで、刈り取った草がトラックの荷台いっぱいに集まりました。浅場を覆っていた草や枯れて倒れていた草を搬出したことで、水面や土が広く露出し、光があたる明るい浅場になりました。これで冬の間に太陽の光をたくさん浴びることができるので、来春の芽生えにつながると思います。この日は、余裕があれば浅場2カ所目の作業を始めるという計画でしたが、上尾水辺守の皆さんの活躍により、なんと3カ所の草刈りを完了することができました。
それと、最下流浅場の作業中には、絶滅危惧種のタコノアシを発見しました。上流浅場では以前から見られていましたが、ここでは初確認です。継続的な草刈りにより分布が広がってきたのかもしれません。覆われていた草がなくなることで・・・希少種の発見!につながることはよくあります。
作業前の浅場。最下流(左)、中流芝生広場前(中)、上流(右)
みんなで草刈り実施中!最下流(左)、中流芝生広場前(中)、上流(右)
作業後の光があたるようになった浅場。最下流(左)、中流芝生広場前(中)、上流(右)
刈り取った草の一部です(左)、最下流浅場で初確認!絶滅危惧種のタコノアシ(右)
人の営みにより生物多様性が維持されてきた里地里山では、ヨシズの材料、屋根などに使われる茅、肥料などを作る目的で、このような草刈りが定期的に行われていたと聞いています。草刈り1つにしても生物多様性の保全に役立っているんですね。来春にどんな植物が芽生えて、どんな動物が集うのか楽しみです。上尾水辺守の皆さんお疲れさまでした!