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大池自然再生日記9・10月号

印刷用ページを表示する 掲載日:2024年10月30日更新 ページID:0377505

上尾水辺守講習会(第3回から第5回)、水生生物モニタリング、みんなで水辺守

 久しぶりの更新です。10月は上尾水辺守の活動てんこ盛りの「上尾水辺守まつり」でした。

10月6日

 この日は第3回上尾水辺守講習会でした。大阪大学の佐伯いく代准教授に生物多様性や保全生態学の基礎知識について講演をしていただきました。生物多様性という考え方ができるまでの経緯、生物多様性の内容やスケールが大きい考え方のため発展途上の分野であること、生物多様性を人類はなぜ大切にしないといけないかや生物多様性が直面している危機について、わかりやすく解説していただきました。
 また、長野県、岐阜県、愛知県の県境を中心に点在しているハナノキが咲く湧水湿地についての保全活動を紹介していただきました。湧水湿地の多くは民有地で、所有者の方々が先祖より受け継いだ土地を大事に思う気持ちが保全につながっていること、一方で地域の事情により、湿地を手放すことになってしまった所有者もいらっしゃることなどを伺いました。これからの時代に里地里山を守っていくためにはどうあるべきかを考えるきっかけとなるお話しでした。佐伯先生ありがとうございました。

佐伯先生の講習会の様子 折り紙を教えていただいて折ってみたら、カエデの種でした
佐伯先生の講習会の様子(左)、折り紙を教えていただいて折ってみたら、カエデの種でした(右)

10月13日

 この日は午前中が上尾水辺守の皆さんと一緒に水生生物モニタリングの張網設置とアメリカザリガニの駆除活動を行って、午後は第4回上尾水辺守講習会でした。第4回の講習会は、公益財団法人埼玉県生態系保護協会の堂本泰章専務理事に県内を中心とした環境保全活動について講演をしていただきました。芝川第一調節池、松戸市の関さんの森(屋敷林)、所沢市のおおたかの森トラスト(農用林)、江川下流域のサクラソウトラストなどの事例を紹介していただき、共通していることとして地元の市民の皆さんの思いや積極的な活動が保全につながっているということを教えていただきました。
 また、一見、生物多様性が低そうな場所でもよく見ると貴重な自然が残っている場合があることや、草刈り1つにしてもやり方によっては生物多様性を保全することができることを解説していただきました。それ以外にも県内における特定外来生物オオキンケイギクの対策事例や特定外来生物のナガエツルノゲイトウやオオフサモの被害の事例を紹介していただきました。
 また、作業が生物を守ることにつながっているかを意識して仲間同士で議論することが大切であること、自然を生かした場づくりにおいて市民の思いをどのように生かしていくかが大切であり、間違った方向に進まないように注意することが必要だというアドバイスをいただきました。堂本先生ありがとうございました。

堂本先生の講習会の様子 小学生も積極的に議論に参加しました
​堂本先生の講習会の様子(左)、小学生も積極的に議論に参加しました(右)

10月14日、15日

 かいぼりしてから毎年2回行っている水生生物モニタリングを行いました。新しく上尾水辺守に入ることになった皆さんも積極的に張網の回収や捕獲された生物の計測に参加していただきました。種類と数だけの計測はもちろんですが、モツゴなどの体長も計測しました。体長を測る時は魚も跳ねたりするのでなかなか難しい作業ですが、できるだけ負担をかけないようにみんなで協力して手早く作業を行いました。今回のデータはまだまとまっていませんが、このような継続的なモニタリングが生物多様性の保全や回復をするうえでどのような取り組みを行うかを考えるのに活用されていくため、非常に大切な作業です。上尾水辺守の皆さんありがとうございました。

池の深いところではフローターに乗って作業します みんなで協力して張網のなかの生物をタライにだします
池の深いところではフローターに乗って作業します(左)、みんなで協力して張網のなかの生物をタライにだします(右)

10月20日

 この日は午前中が今年度最後の「みんなで水辺守 アメリカザリガニ駆除編」を開催して、午後は第5回上尾水辺守講習会でした。みんなで水辺守は今年度の最後の開催ということもあり、定員を少しだけ上回る41名の皆さんに御参加いただきました。こどもたちが罠に入った生物を見て、大盛りあがりになっていたのが印象的でした。
 第5回の講習会は、埼玉大学大学院の深堀准教授に都市の自然環境と生物多様性に配慮した公園づくりついてわかりやすく講演していただきました。今までの都市づくりのなかで自然環境問題が発生した歴史やそれを踏まえて自然を守るために土地利用のルールがつくられたこと、グリーンインフラの内容、都市づくりにおけるエコロジカルネットワークの重要性とグリーンインフラとしての公園のあり方について解説していただきました。上尾丸山公園の自然再生が、公園の環境保全だけではなく、地域や都市づくりの生物多様性にも関わりがある活動だとわかりました。深堀先生ありがとうございました。

みんなで水辺守の様子 深堀先生の講習会の様子
​みんなで水辺守の様子(左)、深堀先生の講習会の様子(右)

令和6年9月23日

 この日は上尾水辺守の皆さんフル稼働でした!午前中は市民参加型イベント「みんなで水辺守 アメリカザリガニ駆除編」を開催し、そのあとはイベントでは引き揚げなかったアメリカザリガニやアカミミガメの捕獲罠の作業を行いました。午後は、浅場の草刈りと池岸に目立っていたアメリカセンダングサの抜き取りを行いました。
 浅場は背丈の高いガマやつる植物が多すぎくなっていたため、草刈りを行ったところ、背丈の低いコナギなどの水草が顔を出してくれました。コナギは絶滅危惧種のミズアオイの仲間で、次の年に種を残して、植物自体は枯れてしまう一年草です。日の光を浴びることができるようになったので、来年に向けて花を咲かして、種をたくさん残してくれると思います。
 アメリカセンダングサは繁殖力が強い侵略的外来種です。この時期に黄色い花を咲かせて、その後にトゲのある種をたくさん作ってしまいます。生態系への影響も深刻ですが、市民の皆さんにあたり前に身近にある植物と感じて欲しくはないため、目につく物はすべて抜き取りました。上尾水辺守の皆さんの地道な作業により、公園が地域本来の自然の姿になります。

ザリガニ駆除イベントの様子 イベント後のザリガニ駆除作業
みんなで協力してアメリカザリガニの駆除を進めています

浅場の保全作業の様子 みんなで草刈りしていきます
浅場ではみんなで協力して草刈りを行いました

池の杭の隙間から生えてくるので池の中に入って作業します リアカーいっぱいのアメリカセンダングサがとれました
アメリカセンダングサは杭の間から出てくるので、池に入って除去作業をします(左)、リアカーいっぱいのアメリカセンダングサを駆除できました(右)

令和6年9月15日

 9月14日と15日に上尾水辺守の講習会が開催されました。この講習会は、新たに上尾水辺守に参加希望をしていただく皆さんに、活動するうえで必要となる知識を習得していただくことを目的としています。また、現役の上尾水辺守の皆さんにとってもスキルアップの貴重な機会となります。
 14日は初回ということもあり、参加希望者に上尾丸山公園における自然再生活動の成果や上尾水辺守の皆さんによる湿地保全活動を見学していただきました。いつもは上尾市職員も湿地保全活動を一緒にしますが、この日は水辺守の皆さんだけで作業していただきました。皆さん暑い中本当にお疲れさまでした!その後に2019年から始めた上尾丸山公園水辺再生事業と上尾水辺守の活動ヒストリーを上尾市職員から説明しました。
 15日は生物多様性保全や外来種対策の取材経験が豊富な小坪遊氏に講演をしていただきました。目の前の「かわいそう…」という感情だけで外来種の駆除をやめてしまった場合、その先に何が起きるかを考えることが大切。外来種駆除の目的をしっかり意識する。生物多様性保全の活動は外来種駆除だけではない。迷ったら参加したいと思った気持などの最初に立ち返る。仲間と議論することが大切。など、このスペースでは書ききれないほどの色々なお話をしていただきました。新たに上尾水辺守に参加する皆さんも、以前から活動をしていただいている皆さんにも自然再生活動をするうえでの迷いや葛藤を整理するきっかけとなるお話しでした。小坪先生ありがとうございました。
 この講習会は生物多様性に関する有識者のお話を聞くことができる貴重な機会となります。上尾水辺守への参加希望がなくても聴講生として参加することが可能です。聴講希望の方はみどり公園課のホームページを確認してみてください。

みんなで絶滅危惧種のミズアオイを見学中 湿地保全活動を見学して、上尾水辺守の皆さんのお話しを聞きました
​みんなで絶滅危惧種のミズアオイを見学中(左)、湿地保全活動を見学して、上尾水辺守の皆さんのお話しを聞きました(右)

小坪先生の講演の様子
小坪先生の講演の様子​。この日は現地活動はありませんでした