ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 組織でさがす > みどり公園課 > 協働のかいぼりによる上尾丸山公園の水辺再生について

協働のかいぼりによる上尾丸山公園の水辺再生について

印刷用ページを表示する 掲載日:2021年3月15日更新 ページID:0269107

 平成31年度に上尾丸山公園の水辺を再生するために、大池の水質改善と在来種の自然再生を目指して、かいぼり事業に取り組みました。

上尾丸山公園大かいぼり祭

 かいぼり状況1 かいぼり状況2

 令和元年12月21日、22日に、市民ボランティアの「上尾水辺守」と当日ボランティアの「おさかな連」の皆様の協力を得て、総勢約270人で大池と修景池において魚捕りを行いました。
 両日ともに冬らしい寒い日となりましたが、多くの市民の皆様が見守るなか、参加者には元気にお魚を捕まえていただきました。このイベントで確認した生物は下表のとおりです。

在来種 数量(匹) 外来種 数量(匹)
大かいぼり祭確認生物一覧
モツゴ 7,379 ブルーギル 5,160
オイカワ 62 ハクレン 47
ギンブナ 30 コイ(外来性) 97
ヨシノボリ類 469 ゲンゴロウブナ 98
ヌマチチブ 33 ミシシッピアカミミガメ 8
ナマズ 1 ウシガエル 3
テナガエビ 142 アメリカザリガニ 1
スジエビ 763 ソウギョ 3
ニゴイ 2 オオクチバス 1
コシアキトンボ(幼虫) 4 カワリヌマエビ属 1
在来種合計 8,885 外来種合計 5,419


 ご参加、ご来園いただきました皆様、また、ブース出展や屋台を出店していただいた井の頭かいぼり隊、NPO法人荒川の自然を守る会、平方河岸の遺産を活かす会、上尾市観光協会、上尾ライオンズクラブ、上尾西ロータリークラブ、上尾ロータリークラブ、上尾北ロータリークラブ、JAさいたま女性部北部ブロックの皆様、ありがとうございました。

池の天日干しを行いました!

池底の天日干しの状況

池底のひび割れその1 池底のひび割れその2

 天日干しをすることで、窒素が大気中に放出されたり、リンが水に戻りずらくなったり、水草が再生する可能性が高くなるなど、水質改善や自然再生の効果が高まると言われています。写真のような泥のひび割れ箇所を増やしていくために、大池で令和元年12月から令和2年3月まで天日干しを行いました。その間に残った水たまりの排水作業と魚捕りなどを行いました。
 3月6日に池底の目視調査を行ったところ、緑色の部分で、天日干しによる池底のひび割れが確認されました。広い範囲でひび割れが確認されたため、貴重な水草の再生が期待されます。

※池底の天日干しは、令和2年12月から令和3年3月の期間も実施しています。

池底の目視調査の結果

飛来した野鳥たち

飛来したサギたち 飛来したカモたち 繁殖したカイツブリの子育ての様子

 池底の見える大池には多くの野鳥が飛来していました。カワセミ、カワウ、ダイサギ、コサギ、アオサギ、マガモ、カルガモ、オオバンなど多くの種類が確認されました。
 また、かいぼり後の大池では、令和2年6月と10月にカイツブリの繁殖が確認されました。大池では初めての繁殖確認となりました。

上尾丸山公園池干し祭

 池の天日干し期間中は、池に入れる貴重な時間です。その期間を利用して、「上尾丸山公園池干し祭」を開催しました。

池底観察会 本当のかいぼりを知ろう!大池探検ツアー

 令和2年1月12日、2月1日に池底観察会を開催しました。
 室内でかいぼりの目的や効果について学んだ後、池へ出発。池岸からは、底の泥のひび割れや生き物の足跡などを観察しました。池底に入ってからは、湧水などを観察しつつ、泥の感触を味わいました。
 2回ともに、定員を上回る多くの方にご参加いただきました。

池底観察会の様子 池底観察会集合写真

大池に浅場を造る 泥かき連

 令和2年2月9日、15日、29日に当日ボランティアの泥かき連の皆様ご協力のもと浅場造りを行いました。
 浅場を造ることで、池に水深の浅い場所が出来るため、小魚の隠れ家や多くの生き物の生息場となります。大池の自然を再生するために浅場は欠かせない環境となります。
 かいぼり後の浅場では、抽水植物のガマや浮葉植物のヒシや浮遊植物のウキクサの仲間など、多様な水草の再生が確認されています。

浅場造りその1 浅場造りその2
浅場造りの様子

かいぼり後に浅場に再生した水草 浅場に再生したヒシとウキクサの仲間 浅場に再生したコナギ
かいぼり後に浅場に再生した水草

水辺の自然再生について

 今回のかいぼりでは池の水質を改善するために、在来種の自然を再生し、池の自浄作用を高めることを目的としています。

都市公園の水辺の自然再生の先進事例

 本事業がモデルケースとしている東京都の井の頭恩賜公園では、かいぼりにより貴重な沈水植物(全体が水中に沈んでいる水草)のツツイトモなどが再生し、水の透明度が向上しています。その状況は、報道機関などを通して、クロード・モネの絵画「睡蓮」のような美しさだと話題になりました。沈水植物が再生した要因としては、長期間の天日干しや水草の生育を阻害する外来種がいなくなった影響が大きいと考えられています。

井の頭池で再生した沈水植物のツツイトモ(東京都建設局ホームページ)

外来種の駆除 

 かいぼりでは、下表のとおり、大かいぼり祭以外でも多くの外来種が確認されています。これらの外来種を駆除することで、本来、この地域に存在した水辺の自然環境が再生すると考えられます。
 かいぼり後も、かいぼりでは捕獲が難しいアメリカザリガニやミシシッピアカミミガメなどの外来種の駆除を継続して実施しています。

在来種 数量(匹) 外来種 数量(匹)
大かいぼり祭以外で確認された生物一覧
モツゴ 10,398 ブルーギル 1,981
オイカワ 100 ハクレン 4
ギンブナ 77 コイ(外来性) 298
ヨシノボリ類 168 ゲンゴロウブナ 1,190
ヌマチチブ 30 タイリクバラタナゴ 39
ナマズ 2 キンギョ 1
ドジョウ 1 チャネルキャットフィッシュ 2
テナガエビ 1,072 カダヤシ 多数
スジエビ 1,176 ミシシッピアカミミガメ 44
    クサガメ 8
    カブトニオイガメ 1
    ウシガエル(幼生) 7
    ウシガエル(成体) 12
    アメリカザリガニ 19
    カワリヌマエビ属 5
在来種合計 13,024 外来種合計 3,611

※外来種合計にカダヤシは含まれていません

保全生態学的手法による水草の再生 

 地域本来の自然と人間社会との関り含めて、多様な生物が生息する生態系を残すことを目的とした「保全生態学」という研究分野があります。かいぼり後の上尾丸山公園では、この保全生態学の考え方に基づいて、昔からこの地域にあった自然の再生を目指しています。

 地域本来の自然を再生するためには、地域の外から持ってきた植物を植えたり、動物を放すのではなく、園内の泥から在来種の植物が再生する手助けをして、その植物が育つことに伴い、周辺から集まってくる在来種の動物たちを大切にすることが重要です。

 かいぼりをしてから1年が経過し、大池や園内の湿地の泥から水辺の生産者である多様な水草(植物)が再生しています。大池では、それらの水草が池の中で育つことができるように以下のような浅場の整備や水草の管理を、上尾水辺守(市民ボランティア)と協働で行っています。

■大池南側の浅場に園内の湿地の泥を追加。
■大池北側の浅場に再生したガマ(抽水植物)を池底に再移植して拡大。
■大池北側の浅場の日当たりを確保し、新たな水草の再生を促す。

作業後の大池南側の浅場  作業後の大池北側の浅場
作業後の大池南側と北側の浅場

浅場で再生したガマの池底への植え付け作業  浅場で再生したガマの池底への植え付け作業
浅場で再生したガマの植え付け作業の様子

 また、園内の湿地の泥からは、沈水植物であるシャジクモの仲間が再生しています。沈水植物は、池の自然再生に大きな役割を果たすと言われていますが、現在の大池では、夏場に水の透明度が下がってしまうため、生育しにくい環境です。このほか、沈水植物を切断してダメージを与える外来種のアメリカザリガニが池全体に生息しています。
 今後はシャジクモをはじめとする多様な水草が大池で生育できる環境を目指して、池の水質改善や水草の天敵であるアメリカザリガニの防除活動に取り組んでいきます。

園内の湿地の泥から再生したシャジクモの仲間
園内の湿地の泥から再生したシャジクモの仲間

※ホームセンターなどで購入したり、他の地域で生息していた水草や動物は、大池においては外来種となります。絶対に入れないでください。

かいぼり後の公園利用ルール

 かいぼり後は、その効果を検証する調査を行っています。在来種の自然な回復を見守るため、かいぼり後の公園利用ルールを下記のとおりとしました。
 これまで以上によりよい公園とするためにご協力をお願いします。

■魚釣りや生物の持ち込み、持ち出しはご遠慮ください。
■野鳥などの生物にエサをやらない。
■植物を採取しない。

今後の上尾丸山公園について 

 上尾丸山公園をとおして、市民の皆様に地域本来の自然に親しんでいただき、生き物の営みや生物多様性について知っていただくきっかけになれば良いと考えております。 
 今後も在来種の集う自然の再生に努めていきます。かいぼりによる自然再生の状況については、継続的に調査を行い、引き続きお知らせしていきます。