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議第11号議案

印刷用ページを表示する 掲載日:2008年6月25日更新 ページID:0002342

取り調べの可視化の実現を求める意見書

 国民から無作為に選ばれた「裁判員」が、裁判官とともに犯罪を裁く裁判員制度が2009年5月までに施行される予定である。同制度は、殺人や傷害致死などの重大事件の刑事裁判で、法律の専門家ではない国民が裁判に参加することで、国民の感覚が裁判の内容に反映されるようになる。そして、それによって国民の司法に対する理解と支持が深まることが期待されている。
 しかし、実際の裁判では供述調書の任意性や信用性などが争われることが少なくなく、ひとたび裁判員となった場合には、そうしたことに対する判断を求められることは必然である。法律家でない国民にとっては非常に判断に苦しむ場面に立たされてしまうことになりかねない。
 裁判員制度導入にあたって、検察庁では現在、東京地検をはじめ各地の地検で「取り調べの可視化」を試行している。また、警察庁においても警視庁や大阪府警など大規模な県警本部で試行されることになった。
 「取り調べの可視化」とは、捜査の結果、犯行を行ったと疑われる被疑者に対して、警察や検察が行う取り調べの全過程を録画・録音することであり、可視化が実現するとえん罪の原因となる密室での違法・不当な取り調べによる自白の任意性や信用性が争われた場合には、取り調べの録画・録音の記録媒体が証拠となる。
 可視化が実施されれば、志布志事件のようなえん罪事件を防ぐことができる。また、埼玉県内でも狭山事件など自白を唯一の根拠に45年間法廷で争われている裁判やJR浦和電車区事件などでも供述調書の「その信用性には疑いを入れる余地がある」と判決に採用されない事象も起きている。
 取り調べの可視化は、自白の任意性、信用性を迅速・的確に判断するための方策として、裁判員制度の導入にとって不可欠な取り組みのひとつといえる。もちろん、えん罪事件を防ぐことにもつながる。
 よって、国および政府においては、2009年5月の裁判員制度実施までに、取り調べ過程の可視化を実現するよう強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

平成20年6月25日

上尾市議会

平成20年6月25日

提出者 上尾市議会議員 道下 文男 
賛成者 上尾市議会議員 町田 皇介
賛成者 上尾市議会議員 岡田 武雄
賛成者 上尾市議会議員 武藤 修