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議第5号議案

印刷用ページを表示する 掲載日:2026年6月25日更新 ページID:0425102

新型コロナワクチン接種に係る診療録の長期保存に関するガイドラインの整備を求める意見書

 新型コロナワクチン接種は、予防接種法に基づく特例臨時接種として令和3年2月から令和6年3月まで実施された。国は積極的な接種勧奨を行い、市区町村はその実施主体として接種会場の設置・運営など多大な協力を行ってきた。本市においても、多数の市民がこの接種を受けており、新型コロナワクチン接種に伴う健康被害の問題は、本市にとっても身近な行政課題である。
 予防接種健康被害救済制度は、接種による疾病・障害・死亡に対して給付を行う仕組みであり、予防接種法上、申請期限に関する明文規定は設けられておらず、事実上、無期限で申請が可能とされている。令和7年7月、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会は、市区町村が保有する予防接種台帳の保存期間を、現行の「接種後5年間」から「被接種者の死亡後5年間」に延長する方針を了承した。これを受け、新型コロナウイルスに係る特例臨時接種の接種記録については令和8年2月1日施行の省令改正により保存期間が既 に延長され、令和8年6月1日以降に実施される予防接種の記録については同省令改正により電磁的記録として被接種者の死亡後5年まで保存することが定められた。国自身もパブリックコメントへの回答において、接種記録が保存されていないために実質的に申請できない状況となることへの問題意識を示しており、接種記録の長期保存に向けた取組は前進しつつある。
 しかしながら、予防接種健康被害救済制度の審査において、接種と疾病・障害・死亡との因果関係を判断するために不可欠なのは、診療の経過・検査結果・診断名等が記録されたカルテ(診療録)である。接種台帳は「接種の事実」を証明するにすぎず、因果関係の立証にはカルテが欠かせない。医師法第24条第2項により、医療機関のカルテ保存義務は最終診療から5年間であり、法定期間経過後は医療機関の判断で廃棄が可能である。早期に接種を受けた方のカルテは令和8年2月以降、順次廃棄可能な状態となっており、廃院・閉院した医療機関における記録の散逸も懸念される。申請が制度上可能でありながらカルテの廃棄により因果関係の立証が事実上不可能となる事態は、国が国民に対して接種を強く推奨した経緯に照らして、看過 することのできない制度上の矛盾である。接種台帳の保存期間延長が図られた一方で、より重要な証拠書類であるカルテの保存問題が手つかずのままでは、予防接種健康被害救済制度の実効性は依然として限定的と言わざるを得ない。
 よって、国及び政府においては、予防接種健康被害救済制度の実効性を確保するため、下記の措置を講じるよう強く求める。

1 新型コロナワクチンを含む予防接種に関連した診療録について、予防接種健康被害救済制度の申請に資するよう、医療機関に対し長期保存を強く推奨するガイドラインを策定し、都道府県及び医師会を通じて速やかに周知すること。

2 医療機関が廃業する際の診療録の適切な引継ぎ・保全について、予防接種関連記録を念頭に置いた具体的な指針を整備し、被接種者が必要時に記録へアクセスできる体制を確保すること。

3 診療録の保存年限と予防接種健康被害救済制度の申請との乖離を制度上の課題として正式に位置づけ、厚生科学審議会等において将来的な法制度の在り方の検討を開始すること。

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

 令和8年6月25日
                         上 尾 市 議 会
 令和8年6月25日
 提出者 上尾市議会議員 樋口 敦
 賛成者 上尾市議会議員 小高 進
  〃     〃    稲村 久美子
  〃     〃    金澤 祥子