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教育委員会委員リレーエッセイ  -中野 住衣 委員-

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年7月29日更新

 わくわくした子供時代の感動が自分の生き方の原点 〔中野住衣 委員〕

顔写真

 

 昨年の11月20日付で、上尾市の教育委員に任命いただきました中野と申します。40年ほど前に小学校の教諭となり、以降退職まで、永く教育の仕事に携ってまいりました。現在は、教育委員として、学校教育や社会教育の現場における状況やニーズ、課題等を把握し、教育施策に反映できるよう取り組ませていただいております。大変微力ではありますが、本市の子供たちの健やかな成長を心から願い、施策を推進する教育行政に関わり、誠心誠意力を尽くしてまいりたいと存じます。何とぞよろしくお願いいたします。


 さて、梅雨が明けて、いよいよ夏本番です。今年は梅雨明けが例年より遅く、お天気が定まらないまま子供たちの夏休みが始まりました。この季節にリレーエッセイの原稿依頼をいただきましたので、随分昔のことになりますが、自分自身の夏休みを思い出してみました。

  「夏が来れば思い出す・・・」
 私の夏休みの思い出はというと、なぜかラジオ体操の光景が浮かんできます。集合場所への道すがら、朝から蒸し返すような土や草の匂い、夜露に濡れたツユクサの可憐な姿に気づいたことを今でも印象深く覚えています。また、納豆を売りに来るおじさんのラッパの音も懐かしく思い出されます。
 そして、夏休みの一番の楽しみは、母の田舎に帰省する家族小旅行でした。祖父母や叔父叔母が私たちの到着を心から待ち望んでいてくれました。到着してすぐにお膳に出てくるのは、カルピスと井戸で冷やしておいてくれた自家製のスイカやメロンでした。久しぶりに会った親類の笑顔に囲まれ、しばし話に花がさくのでしたが、扇風機の風を受けながら、火照った体が徐々に涼しくなっていくのが心地よかったのを覚えています。田舎は、千葉県の「月の砂漠」で有名な海岸から少し内陸に入った場所にありましたが、滞在した数日間を海や山で思い切り遊んだのが懐かしい思い出となっています。
 毎年、夏が来ると、この子供時代にわくわくした思い出がよみがえります。一番わくわくする気持ちを持てたのが子供時代だったような気がします。

 わくわくの思い出は、日常や学校生活の中にもたくさんありました。例えば、次の日に友達と遊ぶ約束をして、わくわくしながら眠りについた金曜日の夜。学校の図書室から本を借りてきた日、わくわくして本を広げた夕食前の食卓。合格点が取れることを祈り、わくわくしながら待った学年末漢字テストの返却の時間。成績がちょっぴり上がった通知表を先生からいただき、早く母に見せたいとわくわくしながら下校した終業式の日。他にも、遠足や運動会等、行事の前はいつもわくわくしていたのを思い出します。

 子供時代はよかったなあとつくづく思いますが、心配事もなく楽しく過ごせたのは、いつも帰りを待っていてくれた家族、暖かく励まし続けてくれた先生、何でも言い合える友達等、自分を大切に思う人達に囲まれていたからでしょう。

 そんな子供時代の生活や経験が人間形成の基礎を培い、生涯に通じる人としての生き方を学ばせてくれた気がします。
 また、子供時代の経験が将来の夢に繋がり、夢を現実のものにした人の話は少なくありません。子供たちには明日への希望、目標とする夢が持てるよう、より良い環境を整えてあげたいと心から願ってやみません。

 剣道用語に、『4つ習い』という言葉があります。学生時代に剣道部に籍を置いていた私は、稽古を通して、恩師や先輩に多くのことを教えていただきました。「教育」にもあてはまる内容ですので紹介します。
 4つとは、(1)師 (2)友 (3)己(自分) (4)場(経験)ということですが、何を習得するにも学ぶところはどこにでもあり、この4つに学ぶことの大切さを言っているのだと思います。先生やご両親の言葉に素直に耳を傾け学ぶことの大切さ、友達と切磋琢磨して学び合い・高め合うことの大切さ、自分の態度や姿勢を常に振り返り、次にどうしたらよいか考えることの大切さ。そして、自分が頑張らないといけない場面は努力して乗り越えていく、場数を踏むと言いますが、そういう経験が必要だと言っています。いつ、どこで、どんな経験を積むかは人それぞれ違うのでしょうが。
 年齢を重ねた今でも、私はこの4つを大切に、今までできなかったことに挑戦しています。
 現在も不登校の児童生徒が減らない現状があり、そのニュースを聞くたびに何か方策はないものかと考え込んでしまいます。『4つ習い』の教えにあるように、柔軟な子供時代こそ、先生や友達とたくさん語らい勉強したり遊んだりする時間を過ごしてほしい、わくわくと心が動く経験を味わってほしいと願っています。心が動けば体が動きます。そうした中で自分のやりたいことを見つけて果敢に挑戦してほしいと思います。急ぐことはありません。自分の手の届きそうな目標が見えてきた時が行動に移す時で、誰もが力を発揮できます。


 夏休み、子供たちはどんなことをして過ごそうか、わくわくしながら毎日を過ごしていることでしょう。長い休みには、毎日やりたいことを思い切りやってほしいと願っています。上尾市の教育施策である『夢・感動教育 あげお』の基本方針は、「生きる力を育む・学ぶ喜びを育む・絆を育む」です。皆さんにとって、この夏休みも、生きて働く力や学ぶ喜び、普段会えない人との絆を育む大切な時間になります。そして、その経験が将来の生き方につながり、いつまでも心に残る人生の思い出になること間違いありません。
 それでは、よい夏休みをお過ごしください。

 上尾市教育委員会委員  中 野 住 衣