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教育委員会委員リレーエッセイ  -細野宏道 教育長職務代理者-

印刷用ページを表示する 掲載日:2013年3月1日更新

 新たなる道を歩む皆さんへ  〔 細野宏道 教育長職務代理者 〕

細野委員長 3月・4月は卒業・進級の季節です。卒業する皆さんが小学校、中学校を巣立ち、力強く羽ばたいて行くことを期待しています。また、進級する皆さんには、4月からの学年に向かってしっかりと歩を進めていってほしいと願っています。

 

 私は市内の中学生であった頃、軟式テニス部に所属しており、当時は毎日毎日ドライブという打ち方を練習していました、今でいうトップスピンです。
 通常、ラケットでボールを打つ位置はネットより下です。そのボールを、ネットを越えて相手のコートに入れなければならないので、当然斜め上を目掛けて打つことになります。この時、なんの回転もかけずに強打すると、ボールはホームランのように遠くに飛んでいってしまい、ネットは越えても相手のコートには入りません。つまり、アウトになります。そこで、ボールの進行方向に強く回転をかけることにより、強打してもアウトにならないようにします。これがトップスピンです。
 部活の帰り道に、友達と「どうしたらより強烈なトップスピンをかけることができるか」と夢中で話し続けたことを昨日のことのように思い出します。
 試行錯誤を繰り返す中で、なぜ回転をかけると、ネットを越えた後地面に落ちようとする力が働くのかなと疑問に思うことがありました。でもその頃は、野球のカーブを投げる時に、中指でボールを切るつもりで強い右回転をかける事と同じで、とにかく回転をかければいいんだと、ボールの打ち方を工夫するばかりで、理由についてはあまり深く考えませんでした。その時は、ボールの変化は回転とボール周囲の圧力変化によるものだとは全く知りませんでしたし、その現象について「流体力学」という学問があることなど知る由もありませんでした。ただ、「なぜ?」と強く疑問に思ったことだけは覚えています。
 トップスピンに夢中だった中学3年生の夏、1969年7月20日、アポロ11号による人類初の月面着陸が成功しましたが、そのロケット打ち上げ時の雄姿は強烈なものでした。
 ロケットは何故あの形なのか、飛行機は何故飛べるのか等疑問はどんどん膨らんでいきました。その疑問が高校で物理への興味につながり、そして大学では流体力学を学ぶことになりました。何故ボールが曲がるのか、何故飛行機は飛べるのか等は、全て流体力学により説明できるのです。
 結局卒業後社会にでる時も、この流体力学に関する仕事を選ぶことになりましたが、中学の部活で軟式テニスをやっていなかったら、その仕事には就いていなかったと思いますし、楽しく仕事をすることもできなかったと思います。
 人生において、自分がどこに向かって進んでいきたいか、自分が何を学びたいか、或いはどんな職業に就きたいかを見つけ出していくことは、大変難しいと思います。
 私の場合は、流体力学につながる道の入り口を中学校の部活動で見つけることができ、大変幸運でした。
 もちろん、中学・高校の部活動がすべてその後の進路の入り口になるとは限りませんし、その時代の大きな出来事が同じ年代の子どもたちに同じ影響を与えるわけではないでしょう。自分の望む方向に道が続いているとは限らないし、そもそも自分が望むものが何なのかはっきりわからないことすらあると思います。
 ただ、ひとりひとりの歩いている道は、他の誰にも経験できないその人だけのものなのです。この道がまっすぐに目標に向かう道なのか、あるいはいま進んでいる道がどこにつながっているかわからなくても、歩み続けることでその人らしい道ができていくのだと思うのです。
 新しいステージに向かう皆さんに、パナソニックを一代で築き上げ、松下政経塾を立ち上げて政治家の育成にも意を注いだ松下幸之助の一文を送ります。

 

 「自分には自分に与えられた道がある。天与の尊い道がある。どんな道かは知らないが、ほかの人には歩めない。自分だけしか歩めない、二度と歩めぬかけがえのないこの道。広い時もある。せまい時もある。のぼりもあればくだりもある。坦々とした時もあれば、かきわけかきわけ汗する時もある。
 この道が果たしてよいのか悪いのか、思案にあまる時もあろう。なぐさめを求めたくなる時もあろう。しかし、所詮はこの道しかないのではないか。
 あきらめろと言うのではない。いま立っているこの道、いま歩んでいるこの道、ともかくもこの道を休まず歩むことである。自分だけしか歩めない大事な道ではないか。自分だけに与えられているかけがえのないこの道ではないか。
 他人の道に心をうばわれ、思案にくれて立ちすくんでいても、道はすこしもひらけない。道をひらくためには、まず歩まねばならぬ。心を定め、懸命に歩まねばならぬ。
 それがたとえ遠い道のように思えても、休まず歩む姿からは必ず新たな道がひらけてくる。深い喜びも生まれてくる。」(「道をひらく」松下幸之助 著 より)

 

 皆さんが、自分のペースで、決して急ぐことなく、ゆっくりでよいので、一歩ずつ、自分の道を歩いてくれることを祈っています。

 

 上尾市教育委員会教育長職務代理者  細 野 宏 道