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上尾歴史散歩317 七夕の願い~真菰の馬と七夕の伝承~

印刷用ページを表示する 掲載日:2017年7月27日更新

七夕の願い
~真菰の馬と七夕の伝承~

 七夕は7月7日の行事として有名であるが、埼玉県内では8月7日に行うのが一般的である。七夕には、庭先に短冊を付けた竹飾りを立てる。この竹飾り(写真1)と共に「真菰」で作った馬(写真2)を飾るのが特徴である。
 真菰とはイネ科の多年草で、沼などの水辺に自生する植物である。市域では、藤波付近の荒沢沼や江川、原市付近の原市沼や原市沼川の他、芝川や鴨川などでも採ることができた。この真菰を乾燥させた後、2匹の馬を作る。2匹の馬は向かい合わせて、竹飾りの近くに飾り付ける。これらの準備は、前日の8月6日に行うものであった。
 真菰の馬を飾る理由については、大きく二つの伝承がある。一つは1年に一度、七夕に織姫と彦星が会うことが許されるという伝説に基づき、真菰の馬は織姫と彦星の乗り物になるというものである。もう一つは、七夕行事を、盆行事の一環とするものである。この場合の真菰の馬は、盆に先祖様(祖霊・仏様)があの世から帰って来る際の乗り物とされ、痩せ馬になぞらえられる。これは、盆の終わりに茄子で作った馬を用意するが、痩せた馬に乗って来た先祖様を、たくさんのお供え物をして太らせた馬でお送りしたいという願いを込めているという。また、6日の夕方に、真菰の馬に子どもの衣類を掛けると、子どもが健康に育つというような、疫病除けになるなどの伝承もある。
 この他にも、七夕にはさまざまな伝承があり、その一つに、水にまつわるものがある。七夕の朝、竹飾りの朝露を浴びると頭痛にならない、この朝露を使って磨った墨で短冊を書くと字が上手になる、などといわれている。また、市域全域で、七夕の日に髪の毛を洗うと汚れが良く落ちるというものもある。一方で、畑に入ってはいけないなどの禁忌伝承もある。
 前日から準備した竹飾りと真菰の馬は、夕方には片付ける。このとき、竹飾りは川に流し、真菰の馬は屋根に投げ上げるのが一般的であった。真菰の馬を屋根に投げ上げるのは、飾る理由と同様に織姫・彦星や盆に関する伝承がある。他に、疫病除けや火伏せなどについても、数は少ないが伝わっている。
 最近では、真菰の馬を見掛けることは少なくなったが、7月になると、今でも学校や保育所など近所のさまざまな場所で竹飾りが立てられ、七夕に願いを込める伝統は続いている(写真3)。
(上尾市生涯学習課)

 

竹飾り 真菰の馬

写真1 竹飾り                          写真2 真菰の馬

子どもたち

写真3 市内の保育所で願いを込めて短冊を付ける子どもたち

コラム お盆と盆棚

 「お盆」は、おおよそ8月13日から15日の期間に行われ、あの世から帰ってきた先祖様を迎え歓待する一連の行事を指していう。一般的に呼称される「お盆」とは、父母などを供養する仏教行事の「盂蘭盆会」から転じたものとされているが、各地域の習俗によってその形態を変化させ今に伝わっている。
 現在ではあまり行われなくなったが、市内の盆行事では、「盆棚」と呼ばれる仮設の棚を自宅に設け、先祖様を迎える準備を行う(写真4)。先祖様は、火に乗って家に帰るとされ、お迎えの際に提灯に火を灯し、盆棚のろうそくに移すことで、先祖様を盆棚に迎えるのである。盆の終わりに先祖様を送っていく際も、火を再び提灯に移して送る。
 また、先祖様が盆棚にいる間は、季節の作物と共に、家族と同じ食事をお膳に載せて供える。この時は、家族も盆棚の前で食事をしたという事例も多く、迎えた先祖様をもてなす「お盆」の性格がうかがえる。

盆棚 

写真4 盆棚